ふたつの終焉/葉leaf
 
立てるために、身体のあらゆる部位から鎖を放ち、身近なところからはるか遠くまで、透明なところから濁ったところまで、巻きつき絡みとり、逆に巻き付かれ絡み取られるのを敢行していった。それは、数限りない他者との対決と和睦とすれちがいであり、正確無比な社会との愛に満ちた抱擁であった。人間の生活空間は、僕がそれと対話するに従い、相対的な巨大さを増し、巨大な相対性を増し、僕の天上と地下とも感覚しあい相対化していった。天上にあった硬質な真理やとげだらけの善、吹きすさぶ美はそれぞれの根を暴かれ、生活の土壌に咲く花々となった。地下にあった膨大な憎しみや消えない傷、さびしい特権意識はそれぞれの頭蓋が透視され、生活の洗濯紐にぶら下がる柔らかい物資となった。絶対的なものはもはやどこにもなく、相対的なものを絶対視したという錯誤の苦い現実性だけが砂のように残った。夢や真理や憎しみや外傷よ、すべてにさようなら! 僕はこの際限なく広がる人間の生活のシステムの中をどこまでも分け入っていく食欲で十分希望に満ちている。



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