蛍/カルメンオジン
 
薄くなるなら
いっそ消えてよ
色彩だけが
灼け付く目蓋

今日を縁取る
昨日の夢が
縒れて拗れて
鎖の様に

明日の朝を
絡め捕る


薄く延ばした
羽の様だよ
継ぎ接ぎ紡ぐ
過去の幻

視界を覆う
煤けた膜が
囲い包んで
蚊帳の裏側

僅か光と
新月の
宵闇と

溢れ出た
失くした物に
呆るほど
執着

捨てたのか
逃げたのか
些細な事も
思い出せずに

蚊帳の外
手を伸ばすほど
絡み付く


指間から
零れてく
色彩だけが
宙を包んで

僅か光に
哀すら溶けて
絡め捕る先
散り散りに舞う
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