北の亡者/Again 2013如月/たま
生きる
乾いた空の木の枝は
去年と同じ姿をしている
彼らは信じて疑わない
この冬が
やがて春になることを
人はどうして姿かたちを変えるのだろうか
老いることは人も木も同じはずなのに
この冬空を信じて生きる人は
きっとつよくてやさしくて
ウラもオモテもない人にちがいない
いつもの散歩道
も吉は慌ただしく糞をする
ころころとした健康的なウンチのあと
も吉の腰はしばらく曲がったままだ
いつまでも坊ちゃんのような顔をしているけれど
おまえもしっかり年老いた
北の亡者の許へ
おまえを還す日が近いことを
わたしは十分承知しているつもりだけれど
ほら
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