家族の音がする/そらの珊瑚
 
ない不思議
同じ血が流れているからこそ ぶつかってしまう不思議
思うとおりにならない人生の不思議
離れていても どこかでつながっている不思議
人がまるであるならば
家族はどこかで重なっている
まるとまるが重なって縁で結ばれる
光にかざせばそこだけ色は濃い

四角い紙が最後にたどりついたのは
まる
わたしの息で
まるくふくらみ
てのひらのなかで
かるく飛んだあと
重力に引きずられて
落ちていった先は
木琴
かみふうせんは
まるい真円のマレットになる
それはやさしく毛糸で巻かれることだろう
無茶苦茶にたたいても
木琴が壊れてしまわないように

そんな家族の音が聴こえる不思議

そして
最後には誰もが独りで逝く不思議



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