ナルシス/雅寛
 
「僕はナルシス。自分の美に溺れ、禁断の愛で肺を満たす。」

僕はナルシス。
少女の僕に夢中。

水面に映る姿に口吻。
細く長い腕を愛撫。
目と目を見合わせる。
もっと深い所へ……。

僕はナルシス。
有毒植物の僕に夢中。

水面に映る唇を舐める。
濡れた体に欲情。
手と手を重ね合う。
二人だけの場所へ……。

僕はナルシス。
紅化粧の僕に夢中。

水面に映る耳を噛む。
目を何処までも裂く。
黒と黒一つにする。
作りかけた永遠を……。

時の果て、
僕等は一つに重なり合って、
長い長いキスを交わしたら、
二人爛れて夜の月に成ろう。
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