メトロポリス/梅昆布茶
マリアは涙を流している
階級のなみだ
金属製の胸には革命の歯車が
コチコチと廻る
フリッツラングの見たニューヨークは
セピア色の未来
摩天楼には愚かな文明がのさばって
素朴な世界を圧迫している
オーバーオールを着た機械工学が通りを走りまわる
人々は微細な星くずのように
その谷間を流れている
チャーリーチャプリンはモダンタイムスを読んだか
いまでも路地裏の輪転機は
新聞を印刷し続けているのだろうか
労働者の新聞を
ヒューゴは時の鍵を手に入れる
秘密のなかの秘密
機械人形にこころを与えるもの
それが時の鍵
そして機械人形は
膨大な歴史書
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