わたしの人形/一尾
して私が健全で正当な愛情だけを注げたというのもこの偽りかちゃんという存在があったからに等しく当時はなぜか嫌いですらあった醜い偽りかちゃんの方がほんとうは私にとっては大切な存在だったのかもしれない
小学五年生の時にわたしはりかちゃんと偽りかちゃんを処分したのであるが小さなころより自分の友達として魂を分け与えて来ていた人型のものを捨てるのはやはり怖く特に偽りかちゃんはこれまで私に残虐の限りを尽くされ振り回されてきたのだから
「化けて出てきたらどうしよう」
と恐ろしく思った
しかしその後彼女らが私を訪ねてくることはなく私の記憶の中の友人としてささやかに残るだけにとどまった
偽りかちゃんについてはあれだけ私から負のオーラを与えられながらも私によく付き添い私が望むときには傍にいてくれ黙って私からの虐待を受け瞬きのしない瞳で常にそれに耐えてくれていたので
やさしい人形だったんだな
と今になっておもっている。
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