せせらぎと雨音と春の嵐/石田とわ
 
        



        まるで山間をながれゆく
        せせらぎのような人でした
        からだは一滴の雨粒で成っており
        どこまでも沁み入る微笑みを
        隠し持っていたのです
        雨音はせせらぎによく似ており
        窓を伝うその一滴にぬくもりを感じ
        いとしさと懐かしさを思いださせる
        やわらかな春の雨は残酷すぎ
        嵐を願ってやまないのです
             







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