the spring in Tchaikovsky violin concerto op.35/月乃助
いこみ
重い足取りで去ってゆく
装てんされた氷柱の銃は、
すでに溶けるにまかせ
擦り切れたコ‐トを引き摺っていく
小川の道を
白い犬が走りぬける
村人のだれもが 扉のすきまを伺う第三楽章
風の香りをたしかめれば
足をふみだし
春の訪れに
陽気なわらい声
森は踊りにつどい 輪を描き
空さえも喜びのあたたかな 色をそえる
散りまどう光砂糖は、
snow dust
待ちわびた 生けるものの心を甘くする
春のあかし
すべては、
春の風にさわぐ
協奏曲の森の
調べ
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