《冬の星座》にあのひとをさがす/石川敬大
してくる雑木林に
どうやら
雪がふりはじめたらしい
*
ほのぼのあかりてながるる銀河
オリオンまいたちスバルはさざめく
めぐりめぐる
天球のどこかにあのひとはいる
みえなくても感じられる こころの
仰角の空のどこかに
そのことにおもい至ったなら
ひとはもっともっとやさしくなれるはずなのに
世界のどこかで
血がながれない日はない
むきゅうをゆびさす北斗の針と
きらめきゆれつつ星座はめぐる
むきゅうという永遠を指さす北斗七星の
空にも
地上のどこにも
どんな悪意もないはずなのに
殉教した聖職者たちがそうだったように
さゆるこころで
空のどこかの 波に浚われた
あのひとをさがす
引用は、堀内敬三訳詩の《冬の星座》一番と二番
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