ツタヤの中の一角で/番田 
 
AVコーナーの中に並んだパッケージを見つめていた
フランスかカンヌで見かけたことがあったのは アメリカ製だった 僕は
淫らなものがこんな風に大量に生産されるのは異常だと思った
そうだ 見る方も作る方も寂しい気持ちでいっぱいになる
たぶん これらは 産業社会が生み出した 糞のようなものだ


銃や民族抗争が日本には無いだけ良いのかもしれないが
自殺者が後を絶たないのは何故だろう 森の中で
学生の頃僕も死のうと考えたことが何回もある
見えない暴力への不安を抱えながら そして 地下鉄に潜る
原色の 暴力的な宣伝広告から 目をそらしながら


ああ 地方出身の素敵な女の子と知り合うにはどうすればいい
東京の女の子は嫌だった ひどく感情が希薄で
だからこそ 年中寒い地域で暮らしている子には魅力があり
だからこそ 年中暑い地域で暮らしている子にも魅力がある
長い道のりを越えて会いに生きたいと思わせるだけの何かがある


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