大きなお世話/千波 一也
大きなお世話を
売る店が
だいぶ減って
しまったから
世の中は
だいぶ自由になって
他人の
一挙手一投足を
監視したり
嘲笑したりして
ときを
費やしている
※
大きなお世話が
寝入ったあとには
きまって
風が
吹いていた
春を
あちらこちらに
振りまいて
暖かな
一陣に
つらなった
近ごろ
大きなお世話は
寝たきりが増えた
※
大きなお世話には
誘いに乗りやすいという
短所が
あったから
後味のよさは
そこに
理由があったのだろう
今では
すっかり
逆手にとられるけれど
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