ひかり ふたつ/木立 悟
むらさきが聞こえ
立ちどまる
むらさきから また
むらさきが降る
真昼に解かれた
窓の前を
光のふちどりの生きものが
淡く明るくすぎてゆく
銀は廻り
影は落ちる
長い径を
二つの色が分けてゆく
どこからか来て
どこかへと去る
大きな
大きな花びら
誰も居ない径がひとり
誰も居なさに咲き誇る
午後と午後の隙間にたなびき
白をこぼす穂のかたち
次の次の季節の震えが
ひとつの窓を揺らしている
どこまでも
気まぐれな明るさ
空と宙に満ちるもの
内と外を映すもの
留まることのない
二つの色
小さなものらがつなぐ手のひら
小さな花になり窓を閉じる
むらさきから
むらさきが降りつづく
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