砂をんな/salco
 
むかしむかしある所に
哀れなおんながありました
たいへん貧しく生まれたので
おんなは
人に何かをもらうことしか
考えませんでした
自分は哀れな身の上なので
情けをかけてもらうという心得で
だれかに与えたり扶けたりする事は
絶えてありませんでした

そうしておんなは
おのずと悲しみ泣くのでした
人を求める心をもて余しては泣き
人に求められぬ身を嘆いては泣き
近しい者が死んでさえ
自分が寂しいばかりに泣くのでした
こういうおんなでしたから
人に想いを寄せるのは
腹を膨らませる為でしかなく
何かに応えているつもりでも
それは身の裡にしまい込んだ
もらいものの反
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