遺骨/
千波 一也
ひどく熱い台の上で
亡きひとの骨を
拾う
幼い
わたしを
抱き上げてくれただろう
腕をひとつ
もう二度と
わたしを呼ぶことのない
喉をひとつ
かつての命は
小さな箸で小さな箱へ
しまわれる
骨の形をのこせぬ灰は
ちりとり・ほうきで
集められる
遺影には
亡きひとの笑みが
ただあって
緩やかに
ぞんざいになる箸使いを
許容しているように
見えなくも
ない
ひどく熱い台の傍ら
亡きひとの視線を
そっと思う
不快な汗を
指の間に滑らせながら
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