ペンは、剣よりも…/まーつん
胸ポケットに挿した Myボールペンをとって
くるくると 青空に放ってみた
跳ね返す春の光で ウインクを繰り返しながら
手元に帰ってきたときは 一本のナイフに代わっていた
迎え入れる 俺の右手をつらぬいて
午後のアスファルトに 鮮血のインクを垂らす
俺は鳩尾あたりに 痛みに跳ね回ろうとする
傷ついた掌を押さえつけて 長閑(のどか)な散歩を 楽しみ続ける
゛ペンは 剣よりも強し゛
おてんとうさま ホントだね
人を殺すことさえ できるんだ
俺は 自分の吐いた言葉で 死んじまいそうだよ
その毒に中(あた)って 傷口の周りから
静脈が黒く染まり始める
心の臓に向かって 走り続ける
病んだ心の血を映して
戻る 編 削 Point(6)