ありふれた十一通の手紙 ‐4‐/月乃助
さながら
形をなさず
あきらめに、
荘厳な宮殿に
安住の地をみつけたもののように
主婦の座を
疑おうとは、しなかった
「夫の腕のぬくもり」
「子供の寝顔」
そんなものを言い訳にして、
あたしは、
何を書こうとしなかったのか
だれも
不思議と
文字をつづっている時には、
詩集を
読むことはできないらしい
次の詩集を
書く頃には、
きっと今を生きるこの詩集を
読むことができるのかもしれない
その時もまだ、
あたしが詩人で
あるならば
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