隠喩について 詩と向き合う/葉leaf
者に連想や推論を強い、さらに決定的な意味を持つことを拒絶し読者の認識を停止させすらします。隠喩はこのように、読み手にとって大変負担をかける表現です。ですが、隠喩表現を用いてなされる書き手のこのような作用は、読者を楽しませもします。読み手はまず表現の奇抜さに新鮮味を感じます。今までにない言葉と言葉の結びつきの斬新さは読み手の目を楽しませます。そして、一つの意味に決定されないという不安定さは、逆に言えば読み手に対して広大な意味の領域を開き、その意味の浮動感もまた楽しかったりします。隠喩は難しいものであると同時に楽しいものでもあるのです。
参考文献
W・G・ライカン『言語哲学』(勁草書房、2005年)
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