冬の終わりに/いつか見た夢/岸かの子
 
四角い窓から明かりが差し込み
それはとても眩くて暖かくて
サッシ越しに季節が変わるその瞬間は
希望を見出してくれているようで
やっとのことで精神の崩壊が止まった気がした

貴女は貴女のままで、いい
力強く言い放った貴方の言葉は
今でも私の中に息づいています
誰にも
如何なる人や動物にも近寄ることを許さない
私の聖域に。

寒の戻りもあるでしょう
もう一回雪も積もるかもしれません
トタン板の赤茶けた匂いも
貴方の乾いた心も
もうじき美しい水瓶により満たされるでしょう

貴方の手を引いて
私の赤茶けた心と共に
冬の調べを楽しみましょう
貴方が貴方である限り
私の心は
塊にはなりません

電線が音を立てて哭いている
遠くへ旅立つ
貴方を思い
私と一緒に泣いている
繋がることが
こんなにも切なく
こんなにも愛おしい

冬の終わりは
こんなにも
こんなにも



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