看取り(3)/吉岡ペペロ
 
息子が帰り支度をするのを見つめながら先生からきょうの息子の様子を聞いていた。

お礼を言って先生にぼくは微笑み保育園を出た。

ぼくは笑顔をよくほめられる。あるとき仲間に黒人であることの利点を指摘された。

黒い大きな眼と肌と白い歯のコントラストには華があるのだそうだ。

息子のやわらかい手を包んでふたりで家路をたどる。

ぼくは自分を動かしているのはなにかと考えた。

息子?使えないやつと思われたくないというプライド?

祖国のこと?それはふたをしたままだ。

妻はどうしているのだろう。

思考のながれで妻のことを思い出した。

妻は日本人だった。


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