群青三月の課題詩「愛」  「途上にある者」/木原東子
 
れにその使命を与えたのでしょう


愛の形
小さな慰めを賜ったのか
われわれが発明したのか

全部の歴史を引き連れて
ロッククライマーのわれらの存続を
生殖が可能にした時

愛の形が、その両のてのひらがある
ナザレの大工が決意したとき
人の哀れさのゆえに

親鸞が確信した時
もっとも簡単な救済の言葉を
親と子が笑みを交わす時

死後も護ってくれる祖先を信じた時
居ても立ってもいられずに
いのちの電話をダイヤルした時に

生まれ,生き抜き、苦しんで(何のために)
そして無にかえる時
神よ、法則よ、仕組みよ、真理よ、せめて途上にあることを

一瞬の美しいものも醜さによってゼロとなり
遺伝子のプールとしての役割はあれども
早く生まれすぎた残念なわれわれです

絶望したわけではないのです

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