ひかり しるし/木立 悟
 




翳りの動き
白い文字
午後の無縁碑


何も導かない天使像
径を埋める雪が
無数の閉じた目に融け残る


止まる炎
狭く白い
水の行く先


石の上の声と羽
ふいにはじまり 
ふいに消えるうた
はざまとはざま むこう側の
もうひとつの午後


出てくるもの
次に入るもの
木々の白に 隠れている


濡れた髪の径
花を摘む手
離れ重なる
見えない指


白の背は白
門の奥の昼
熱は眠る
足跡に添う


四ッ足が遠く吼えている
木々のはざまを文字がすぎる
閉じた目が 音を見ている


動かないまま
午後は動く
白を幾つか連れてゆく


足跡を残し 径は消える
窓 鏡 鳥 曇
高く昇り さらに昇り
墓地のむこうの墓地を照らす






























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