かくしんはん/オオカミ
幾何学を、なぞりました
隙間にきみがいないかと探したけれど
隙間なんてさいしょから どこにもなかった
堀のうえをつま先であるいていたとき
それは降り注ぎ わたしを焼き尽くしたのです
未来なんて あっというま
明日十七歳になるはずだったわたしは
世界に弾かれて あっというま
隙間なんてさいしょから どこにもなかった
あの舞台 飛び降りたきみの背中に 幾何学
あんた 鯨になるのね なんて おもわず言ったけれど
海へのちず 渡しわすれてしまったよ 雨はまだとおい
くじら きっとわたしを迎えにきては くれない
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