縁側/そらの珊瑚
 
朝がやってくる
風がやってくる
音がやってくる
虫がやってくる
雨もふりかかれば
猫もやってくる

人がやってくる

外へ広く放たれた
寛容な空間だった

祖母が景気よくぞうきんがけをすると
そこはつややかにひかりはじめる
再生される静かな時間
摩擦され たちのぼる木の匂い
干された布団が
おひさまを吸い込んで
ふっくらとして並んでいる
吊るされた柿は
しなびて冬を待っている

影がのびていく
夕焼けがやってくる
鳥が帰っていく
人が帰っていく

扉がレールをすべっていく

家が閉じられて
縁側が
おしまいになる


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