ぬりつぶし/ドクダミ五十号
 
れて

ひとみから入り絵描きに問うだろう

私が消えないでのさばるのは

さぞかし憂う事であるとお考えか




絵描きは言葉に不自由だ

言葉を選ぶ機知とは無縁だ

一度も洗った事の無いパレットから

筆で答えをするばかり


そして不自由ながら一言

お前は幻だ


明かり取りの窓の外で降る

真白な雪で一度

塗り潰せたならなんと楽だろうと

アイボリー・ホワイトのチューブの頼りなさを

乱暴に放り込まれた木箱の中に見て

絵描きは醜い顔を一層醜く歪めて笑うのだった
戻る   Point(3)