ぬりつぶし/ドクダミ五十号
れて
ひとみから入り絵描きに問うだろう
私が消えないでのさばるのは
さぞかし憂う事であるとお考えか
と
絵描きは言葉に不自由だ
言葉を選ぶ機知とは無縁だ
一度も洗った事の無いパレットから
筆で答えをするばかり
そして不自由ながら一言
お前は幻だ
明かり取りの窓の外で降る
真白な雪で一度
塗り潰せたならなんと楽だろうと
アイボリー・ホワイトのチューブの頼りなさを
乱暴に放り込まれた木箱の中に見て
絵描きは醜い顔を一層醜く歪めて笑うのだった
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