宴 / 春の祝福/そらの珊瑚
 
なぐさめが
嘘だと知っていた
けれど
この世の中に
ほんとのことなど
在るのだろうか

わたしの躰に産みつけられ
冬を越した
薄黄色い卵(カプセル)が
もうすぐ
孵化を始めるだろう
わたしは
あらがう術を持たず
どこへも行けないで
ただ
喰べつくされるのを
こうべを垂れて待っている
春の祝福
それは
ゆるやかに効いていく麻酔に似ている

それは
静脈を巡る子守唄

現れては消える
幻のような白い光に包まれて
わたしは
あなたに
成った

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