こがね まわりみち/木立 悟
 
くもの 遠のくもの
知らずに置いていかれるもの


まわり径
暗がりを暗がりに伝う径
ゆるやかに下る
夜の水の径


右目の上に
めまいのように現われる
水銀球の柱のほうへ
枝葉はそよぎ 空を隠す


みどりをたたむ手に添うこがね
見えない生きものをふちどるこがね
真夜中の雨に目をつむり
扉を描く白を見つめるこがね


音が降り
径に触れ
息を吹き 影を揺らし
歩むものの行方すべてを
冬へ冬へ傾けてゆく



























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