地を這う男/ホロウ・シカエルボク
 
りつけていた大男までが、呆気に取られた様にぽかんと口を開けて地を這う男の意志を見つめていた、男の姿が道の先で小さくなるまで、誰もそこを動くことが出来なかった、やがて夜が訪れて、民衆はどこか諦めたみたいにそれぞれの住処へ戻った、地を這う男がどこへ行ったのか、誰にも判らなかった、翌日になっても道の上に刻まれていた彼の血を辿れば、もしか死体でも見つけることは出来たかもしれないが、町の誰一人としてその血を辿って行こうとはしなかったのだ。





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