肉と骨について/salco
しかし何故羽根を持たないか
我々がそれを具有していた
(些か夢想的な)証である
残滓としての肩甲骨
その悲しい佇まいを見よ
また何故海を恐怖せねばならないのか
産声と共に肺呼吸を開始したその日から
目にかかる滴さえ厭わしく
保証でしつらえた浴槽の中でさえ
溺死強迫が片隅から拭えないのか
多分、それは
ぶざまな腕先に往々ヘマをやらかす手があり
あらゆる次元の所有権を主張してやまぬ
この大脳新皮質の想像力の故だろうね
絶え間なく観念を弄びながら
人生は手に余る
こんなちっぽけな時空さえ
何と冗慢で退屈だろう
それも己が生滅を自覚している上でなのだとは
皮肉
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