書店に詩を/深水遊脚
詩集が書店にない。そんな嘆きをまた読んだ。それがいまの人びとの詩に対する無関心を証明するものだとは私は思わない。売る側にとって、ただ単純に、売りにくい。それだけのことなのだ。お店の構成としては、雑誌コーナー、新刊小説エッセイ、ビジネス書、趣味の本、文庫と新書。書店によっては短歌、俳句、宗教本、そして哲学書、そのあとに詩が来るかもしれない。前のほうに書いてあるものほど誰に売るかが明確で、商品のライフサイクルも短い。誰かが買ってくれる確率が高いのだ。よほど規模が大きい書店でない限り、誰が買うか見当も付かない商品を大量に仕入れて在庫にするわけには行かない。
詩は誰に売れるか、誰が読むのか分から
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)