HHM講評/香瀬
 
記述されている時間に着目します。紙へ変身する前のおじいちゃんと、変身してしまった後のおじいちゃんとの出来事を記述することで、変身の暴力っぷりを強調し、紙への変身そのものにネガティブなイメージを与えているかのように読めます。しかし、「紙のおじいちゃん」では最後に「私」が「紙人形」になるというフレーズがあり、紙への変身そのものにポジティブなイメージもあるのではないか、と読者に思わせるような構成になっています。多義性や両義性、規範逸脱と祝祭など、前半の氏の「詩のテクスト」に対する表明と、後半の「紙のおじいちゃん」の読解と、うまいことブリッジできていない印象も持ちましたが、読み応えのある文章であるとともに
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