応え まばたき(棘 羽 花)/木立 悟
浪と工場
蛇の骨
隣家の炎
窓に映る 海へ下る径
水底の火
羽と花
魚がくちずさむ
蒼い虹
枯れ枝の空に心を押しつけ
棄てられた街の一画を
よろよろとすぎるけだものは
焦げた羽を引き摺っている
巨大な石の鍵が砕け
誰もいない街が埋もれ
煙が幾日も幾日もうたい
耳を傾けるものは無く
風の無言 棘の春
川が削る 裏庭の陽
冬の土を踏みしめて
見えるはずもない友の背を見る
夜に積もる二重の解
重なりの上位の足跡に
さらに積もる粉の笑み
とまどいとよろこびを持ち去ってゆく
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