君に戦場で会ったなら/まーつん
達の何かが死んだのだ
私は君を愛しているが それ故に君を憎むだろう
私達が取ってしまった 選択の故に
私達のすべての指がかけられた 引き金の冷たさの故に
苦しみを分け合った全ての戦友を 心のどこかで憎むだろう
その時愛と憎しみは 見分けがつかなくなるだろう
一つに溶けて流れるだろう
だが
降り積もる歳月が地層となり
戦場の記憶が薄れかけ
人々の日々の営みが
再び花を咲かせたとき
その蜜は
乾き切らない血の匂いを
芳香の裏に漂わせ
老いた私を怯ませることだろう
いつまでも
そう
いつまでも
慄き続けることだろう
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