僕のマスターベーション6/花形新次
をバスの窓から見ていた。
その日は橋の上で事故があったのか大渋滞で、ホワイトアルバムなら2回聴ける時間がたったのにまだほんの30m動いたくらいだった。
バスの中には女の子と俺、運転手とすぐ脇の席に70ぐらいの農家の老婦が座っていた。
運転手はこの地方特有のぶっきら棒でぞんざいなものいいでしかもペラペラとよく喋った。老婦は聞いているのかいないのか、ただフンフンと頷くだけだった。
運転手も老婦に話している訳ではなかった。ただ、自分が話したいだけだった。
事故の処理が済んだのか、車の流れが急にスムースになった。
そのとき、女の子が降車を知らせるチャイムを鳴らした。
運転手は、あきらかに
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