僕のマスターベーション6/花形新次
バスはC県からT川を超えI県へと進むローカル路線バスだった。
俺はI県側にあるテレビ工場に勤めていたので、毎朝一時間に一本しかないバスに乗って通っていた。
工場に勤める人をはじめ、多くの人は自家用車で通勤していたので、バスは朝の通勤通学時間帯にも関わらず、いつも閑散としていた。
客は俺一人のときもあれば、中学生ぐらいの女の子が一人一緒のときもあった。
女の子は、途中にあるN市養護学校前というバス停で降りた。
涼しげな目元が綺麗な女の子だったが、表情を変えることがなかった。運転手とのやりとりもいつも無言でいた。
バスから降りるといつも颯爽として足取り軽やかに目的の学校まで歩いていくのをバ
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