僕のマスターベーション6/花形新次
はずだ。
そして運転手が乗客の安全を第一に考えるのならば、先ずはこの女の子の安全を考えなければならないのではないのか。
「この子、止まるってチャイム押したぞ!」
俺は切れ気味で声を荒げた。
「運転手は、乗客と喋るのが仕事じゃないだろう!」
運転手は慌ててバスを左に止めた。止めるべきバス停からはもう100mぐらい
行過ぎていた。女の子はバスが止まると、スクッと立ち上がって、定期券を見せて
降りようとした。その背に向かって運転手が
「行き過ぎてたら、ちゃんと言ってくれなきゃ」
大げさな話だが、日本人の職業倫理なんてものはクソみたいになってしまったんだなと
俺は思った。お前らみたいな
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