牢獄からの便り/梅昆布茶
 
鉄格子越しに見える空は
いつも哀しい程蒼い

罪人には空が無いのだ
空虚な自分と向き合っているだけなんだ

時々差し入れられるちょっと冷めた食事は
少しだけ生きている実感を与えてくれるのだが

それで罪が消えるわけでは無い

過剰な夢は犯罪なのだ
社会のルールはヤクザな人間を
暗い穴倉に追い込むのだ

罪は自分自身を断罪しないものだ
ルールは常に改変されてゆく

そしてまた新しい種類の罪人が増えるだけだ

僕の一縷の希望は
奴らの首に縄をかける事だ

そして奴らがちびるまで
ゆっくり締め上げてやる事

僕は寸止めという悪い冗談が大好きなのだ

精神を縛る悪魔は僕自身でもあるのだ

そしてそれが僕の最大の罪でもある

だから今日もこの牢獄の

壁を眺めているのさ




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