ぱっぷくどん/吉岡ペペロ
 
小学校のとき春のことを

春の感じを

ぱっぷくどんって呼ぶのだと知った

理科じゃなくて国語で

国語の教科書にのってる詩のことばだった

だからこのみずみずしい不安や

ぽわぽわした光

みずっぽい匂いに

希望のようなふくらみに

ぼくはぱっぷくどんを感じていた

たとえあした雪が降ろうと

ぼくはぱっぷくどんを感じていた


あなたを守るためだけだった

国境には雪が降っていた

あなたが母さんに伝えたいことが

ぼくには痛いほど分かっていた

あなたに棄てられても

その痛みのなかに飛び込んでも

ぼくはあなたを守
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