うた/月形半分子
に時を与える
その雪は孤独
暖かな暖炉の炉辺には
湯気のたつスープに厚切りの肉の焼ける音
君も私もそんな故郷の夢をみる
音を立てて踏む霜、凍った薪を拾う裏山の朝
冷たい大気から故郷の匂いをかぎわける時
オオカミの遠吠えが聞こえるだろう
それを私たちはまるで自分の心のように夢に聞く
冬は神さまのように私たちに教える
あらゆる動物には帰る場所が必要なのだと
冬は神さまのように私たちのそばにいる
いつも、いつも
たかなる連峰のその頂上から
雪の絶えることがないように
冬だけが神さまのように
遠ざかることはあっても消えることがない
冬は言う。自分こそが帰る家だと
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