こどもごっこ/中川達矢
 
最近流行りの小説を 独りで朗読すれば リア充ごっこ


こどもたちのおままごとがリビングで勤労感謝という勤労


ブランコで一回りしてさかさまの上弦の月のぼり続ける


まだだよがずっと言えないかくれんぼいちょうの色を化膿で染めた


「ゆめ」という幼稚園での忘れ物父になったら探しに行こう


ふたりだけで夜の街に出かけよう警察官に追われてみたり


逃げるんだぼくがけいさつきみはどろいつもの場所は探さないから


覚えたよ空中浮遊なかみだけが今からそちらにまいります


コーヒーが落ちる間に思いだす過去はただただ苦くなるだけ


新しい懐中時計の秒針の子守唄が懐かしくて


目の色が白黒つかずさまよって今日から脱落おやすみなさい

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