ラブレター/草野春心
どうしてこんなに
あなたを好きかわからない
あたまのなかに星がうかんで
どんな夜よりはっきりかがやく
どうしてこんなに
たんじゅんなことを伝えられない
まぶしい朝がむかえにくるたび
かぞえた花びらは抽斗の奥
あたらしい靴をはくように
しあわせな日曜日の午後、
シャツにアイロンをかけるみたいに
まだつめたい春風のなか
あなたと話ができたらいいのに
どうしてこんなに
だいじな言葉を口にできない
あなたに会いたい
両手いっぱい、
あふれる笑いを貰いたい
抽斗の奥でしおれた花びら
胸におしつけたすっぱだかの茎
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