動機/三田九郎
時に、そうした経験も踏まえて今思うのは、僕の性向に、小説という手段は合っていないということ。僕は、自分の内面を、もっと、直接的に、脚色を少なく、書きたいと思っているのだ。
三 私小説から物語を剥ぎ取る
僕は、自分の内面を、もっと、直接的に、脚色を少なく、書きたい。
つまり、僕の中に渦巻いている、小説にすれば私小説になるであろううごめきを、小説という手の込んだ手法を使わずに、書きたい。私小説から物語性を剥ぎ取ったもの、そういうものを書きたい。それが、僕が詩を書く一番の動機になっている。
そうして書き上げたものが、ひとつでも、少しでも、誰かの心に届けば、これ以上うれしいことはない。
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