ノート(ある日 明けて)/木立 悟
 




すろすろすろ と
言葉は融けて
羊は羊飼いに従わず
次々と夜に飛び出してゆく


目が目でしかないのなら
信じなくてもかまわない
死なないくらいに
傷つけばよい


誰が誰を招んだのか
証の衣を引き裂くがいい
においのかけらを馬の背に
残らず乗せて放ったあとで


あらゆる と発音すれば
あらゆる は無くなる
廃屋の壁に
冷やされるひたい


灯は灯を吹き消し
黙っている
朝は知らずに
こがねを羽織る


ふところの原が燃え
投げ出しては空を見る
ところどころ隠された街
水から水へ記されてゆく



















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