雨の鳥籠/ただのみきや
あなたはいつも雨降りで
子猫みたいに濡れそぼち
そのくせ強く匂わせる
刃物を当てた乳房のように
ぼくの真顔の疑問符も
蒼く滲んでインクのよう
何時のころから遺書めいた
ことば遊びが続いている
午後がゆっくり倒壊すると
消された影たちの堆積が
息苦しい闇を生み出して
もはや見つめることもできないのに
ぼくたちは互いの横顔ばかりデッサンする
稲光と雨で埋め尽くされたこの部屋で
いつか一緒に身投げした
そんな仲かもしれない
ぼくは記憶を失って
あなたはからだを失った
なんて馬鹿馬鹿しいことを考えてみる
何時からだろう
雨の鳥籠
蒼く 湿った生活
戻る 編 削 Point(19)