祈るウルフ/竜門勇気
夜を歩く
薄曇りに月はなく
ひとり話す
昨日の光を突き放す
牙を
とがった牙を
何度も何度も
突き立てたけど
口に広がるのは
凍った水の味
ひとり いのる
髪の長いひと
思わず隠れた心の陰
ひかりの あめ
昨日の影を焼き付ける
いのる ウルフ
月に口づけするよに吠える
怒る ウルヴス
月に背中は針千本
低い声かかる
血みどろサーカスは幕を引く
ひかりの かさ
暗闇と牙のフラッシュが続く!
いのる ウルフ
見る間に月は欠けていく
凍る ウルフ
口づけのそばから枯れていく
いのる ウルヴス
風雪にひとりの行き先をみた
凍る ウルヴス
月暈の虹に口づけをした
根雪に刺さった牙をみた
根雪ににじんだ水をみた
ぬかるみに刺さった赤い血を見た
戻る 編 削 Point(0)