全身全霊痛感覚/塩崎みあき
 
特にモンキチョウっていうのはあの止まって
黄色い翅をふーわふーわするところが耳の不安を呼ぶ
その村では
春のなんともいえない陽気の中を歩くと
決まって菜の花畑にたどり着いた
そこではたくさんの蝶が 蝶が 蝶が
ときどき羽化しなかったサナギがぐちゃぐちゃになって
白い小さな野犬が嬉しそうにその中で飛びはねっている

そこで話は終了する


グリルピンクの貼るホッカイロでじゅうじゅう
ザワリの砂のしょっぴきの遺影のサウンドトラック
トラックに引かれる孤猫のビュッフェ形式
サーバーを取り落としてライトは消灯する
ショートケーキの出番の中にあの日のホルモンバランス
私たちは
とっても簡素なサンドウィッチをしっていて
こうしてこうしてこうして作るんだよ
いたい!

とっさに手首を見る午前2時

です

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