荒野/川上凌
 
泣くことは
いつの間にやら忘れてしまった

短い人生の中でわたしも知ったのでしょうか
大きな声を上げて泣く恥ずかしさや世間体のことを
そうやっていろいろなものを塗り込められて
大人になっていくのでしょうか

そして同時に
こうして痛みを背負って
心のなかで渦巻く赤ちゃんの泣き声を
小さく小さく押し込んで
守られることのない荒んだ世を歩き
強くなってゆくのでしょうか




戻る   Point(3)