うたの放課後/玉木空覚
 
うたの放課後にボクたちは
コートを脱いで話しかけよう
水色の液体の中にゆっくり広がる魔法の声で
あの頃生まれたボクたちの右手の指は透きとおっていた

テーブルの上に並んでいる白い皿にもりつけた虹たちよ
甘い匂いがただよってお前たちの心がはじけていく
はじけた心に陽があたり
一本道になりました

旅を続ける歌い手の後をついてきたつもりが
いつの間にか歌い手は
ボクの後ろに立っていた
でもそれはボクが
歌い手の前を歩いているということではない

あの頃生まれたボクたちの右手の指は透きとおっていた
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