静かな波紋のごとく/石田とわ
 


    


      大切にしたいものがありました
      それはひどく不器用で
      武骨ななりをしておりました
      それのどこに惹かれたのか
      今となっては見つけることは難しく
      幾度もじぶんに問うては迷うのでした
      それでもやはり大切なことに変わりなく
      その不器用さも武骨さも
      すべてをこの手にしたかったのです
      手に入らぬものほど求めてしまうのは
      なんと浅はかな愚かしいことでしょう
      けれどこころ震わせるほどに
      惹かれるものに出逢えたこ
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