半端もの/
石田とわ
「不用品なんでも買い取ります」
そんな張り紙のある煤けた店で
残っていたわずかなやさしさを売った
音のでないラヂオや首の回らない扇風機
色褪せた人形に取っ手のとれた鍋たち
必要とされ、使い古され見捨てられたものたち
半端なやさしさほど邪魔なものはなかった
捨て去ってしまわなければ刃となって
わたしを苛み続ける
痛むやさしさを引き剥がし
安価な値札を張り付ければ店の片隅で
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